環境にやさしい紙は?:再生紙と植林木、FSC森林認証の比較

ビジネスをスタートして以来、コピー用紙が足りなくなるたびに近所のコンビニやホームセンターで購入していました。当店ではそれほど紙を大量に使用する用途はありませんが、コピー用紙はこれからも継続的に使うもの。なるべく環境にやさしい紙を購入したいと思っています。

一昔前なら環境にやさしい紙といえば再生紙でした。しかし現在は植林木やFSC森林認証を取得した木材を原材料としたものなど、さまざまな種類の紙が販売されています。そこでどの種類の紙がより環境にやさしいと言えるのか、素人ながら少し調べてみました。環境にやさしい紙を探している方の参考になれば幸いです。

・まずAmazonを検索:植林木を使用したコピー用紙を見つける

Amazonで環境に良さそうな紙を検索した結果、まず見つけたのがこの商品です。
ホワイトコピー用紙 A4 500枚x5冊/箱 高白色 (画像:Amazonより)
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エイピーピー・ジャパンのこの製品、品質も良さそうでお値段も手頃。そして商品説明文によると……

このコピー用紙は、APPグループで管理・収穫をしている植林木のパルプを原料として使用。
植林木は、安定した原料供給を可能とするだけでなく、その成長過程において大量の二酸化炭素を吸収することで、地球温暖化への防止に貢献

……と環境に対する負荷が少ないような印象を受ける説明が記載されていました。

しかしこの商品、単に植林木を使用というだけで外部の認証取得などについては触れられていません。この製品の販売元である【エイピーピー・ジャパン】は、インドネシアのAsia Pulp & Paperグループ(APP)と、伊藤忠商事が株主の法人のようです。

エイピーピー・ジャパン株式会社

そしてこのAPPというインドネシア企業について検索すると、以下の記事が見つかりました。

アスクルの《安心して使えない》格安コピー用紙 ―紙原料向けの植林がインドネシアの熱帯林と暮らしにあたえる大きな影響JATAN[熱帯林行動ネットワーク] 2014年01月07日の記事(トップ画像元記事:©JATAN)

この記事ではインドネシアの企業であるAPP、そしてAPPに「スーパーエコノミー」などのコピー用紙を委託生産している日本のアスクル株式会社が批判されています。記事によるとAPPはインドネシア現地の植林木事業にて、さまざまな環境問題や社会問題を引き起こしています。また2004年には株式会社リコーがこういった問題点からAPPとの取引を中止しています。

以下で記事で触れられている問題点について上記の記事より抜粋して紹介します。

・植林地域における原住民との土地の権利問題

広大な植林地の確保を可能にさせている背景には、その事業権の取得過程に問題があるからです。APPグループが原料供給地として確保している植林地の多くで地域住民との土地紛争が起きていますが、それは地域住民が元々居住していたり利用していた土地だったにもかかわらず、住民の存在を無視して、政府が植林地の造成や管理権の許可を与えてしまうからです。伝統的・慣習的な土地権を尊重しないで、造成されたこうした植林地は持続可能な原材料を得られる地域とは考えられません。しかも、APPサプライヤーが産業植林開発を行う土地の譲渡を受ける際に必要な人工林木材林産物利用事業許可(IUPHHK–HT)や年間伐採許可を認可する政府役人数人が、サプライヤーから賄賂を授受していた件でこれまでに懲役刑判決を受けています。

・元々あった自然林の破壊、それによるスマトラトラやスマトラゾウなどの動植物の減少

「アイズ・オン・ザ・フォレスト」によれば、APPがリアウ州でパルプ工場を操業開始した1984年から2010年までに、APPとその木材サプライヤーは、東京都の9倍の面積に相当する200万ヘクタールのインドネシアの熱帯自然林を伐採しました。

・植林された泥炭地から温室効果ガスが排出されている。

天然林皆伐のみならず、植林造営と管理のために泥炭地の水が排出され続けることによって、炭素等を封じ込めた状態で長年にわたって水中に未分解のまま貯蔵されていた植物枯死体が、空気と触れ合って酸化を始めてしまい、二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスを発生し続けるからです。(中略)天然林伐採や泥炭地での植林開発によって排出される温室効果ガスもふくめると、APPの紙1トンの生産は16~21トンCO2以上を排出することが推計され、これは北米で利用可能な最高レベルの古紙100%再生紙のカーボンフットプリントの約53~70 倍でした。

この記事を読む限りでは「植林木を使用=環境にやさしい」と言えるわけではないようです。

・FSC認証について調べてみる

環境にやさしい木材製品に対する認証で、最も有名なものはおそらくFSC森林認証ではないでしょうか?

(©FSC A.C)

このFSC認証のラベルマークがついた木材製品は適切に管理された森林由来の製品であることを示します。いくつかの大手メーカーもこの認証を取得したコピー用紙を販売しているようです。

詳しい森林管理の基準についてはFSCジャパンや環境省のウェブサイトに記載されています。
FSCの原則と基準 :FSCジャパン
FSC認証制度:環境省

この認証にも問題点や批判があるのかもしれません。しかし一般的に、FSC森林認証は厳しい基準を持った、信頼できる認証制度の一つとして多くの団体、企業に取り上げられています。

ただ少し検索して調べてみた結果、このFSC森林認証のラベルマークが木材製品に付随していても、必ずしもその製品が環境にやさしいと言えるのかどうか、疑問が残りました。なぜかというとFSC認証には2種類の基準があるからです。

1:FSCピュア
原材料の100%がFSC森林管理基準を満たしている

2:FSCミックス
原材料の一部がFSC森林管理基準を満たしている

ところが公式のウェブサイトを見ても”こうした2種類の基準があることや、いったい原材料の何%がFSC森林管理基準を満たしていればFSCミックスとして販売可能かがわからない”のです。

FSC認証について検索すると、認証自体を説明する企業ウェブサイトは多々見つかるものの、FSCミックスにおける原材料の割合を記載しているものはなかなか見つかりません。そんな中で以下のウェブサイトを見つけました。

環境配慮用紙の考え方:エコ印刷研究所

このウェブサイトによれば、FSCミックスのラベルを製品につけるには「原材料の10%以上」がFSCの森林認証を取得していればよいそうです。

原材料の内10%のみが適切に管理された森林由来の製品を「環境にやさしい」と言えるでしょうか?製品の内90%は認証を取得していない原材料なのに、消費者がこういったラベルマークをみて「環境に優しい製品を選んだ」と単純に認識してしまうほうが環境にやさしくない気がします。

さらにFSCミックスのラベルには、FSC森林認証を取得した原材料の使用割合の表示がありません。企業ウェブサイト(コクヨ)の商品紹介ページにも書かれていません。消費者が製品を手にとってラベルを見ても、「ミックス」と書かれているだけで、製品の原材料の内、どの程度がFSCの森林認証を取得したものか分からないのです。

FSCではこういったミックスのラベル製品において使用される非認証の木材について、「違法に伐採された木材」でないかどうかなどのリスクアセスメントを行うことを企業に課しているようです。
管理木材基準
非認証原料を対象とした基準

森林認証の専門家ではないので、このリスクアセスメントがどれほどの意義があるのかは正直判断できません。しかしリスクアセスメントをした非認証の木材で環境への配慮が十分ならば、そもそもFSC森林認証が必要ないわけですから、やはり認証を得た原材料と単にリスクアセスメントを行っただけの木材ではその持続可能性、透明性、信頼性が大きく異なるのでは無いでしょうか?

検索した限りでは、どうも現在販売されているFSC認証ラベルが付いたコピー用紙は全て「FSCミックス」のもののようです。「FSCピュア」のコピー用紙は見つけることができませんでした。しかしFSCミックスのコピー用紙はどれだけ環境にやさしいと言えるのか不明瞭なため、購入するのを見送りました。

・古紙使用率100%の再生紙を購入することに

調べたことをまとめると……

植林木:さまざまな社会問題を抱えている、また環境にやさしいとは限らない
FSC認証(ミックス):適切な森林管理に基づく原材料の使用割合が不明瞭
FSC認証(ピュア):この認証を持つコピー用紙が見つからない

→他に環境にやさしい紙といえば再生紙しか思いつきませんでした。

というわけで結局、古紙使用率100%の再生紙を使用することにしました。値段は少し高いですが、古紙使用率100%の再生コピー紙ならばいくつかのメーカーから販売されており、簡単にウェブで見つかります。もっとも文房具屋さんなどでは在庫がない場合があるようです。

それにしても再生紙は高いです。製造コストの関係で高くなるのは仕方ないですが、普通のコピー用紙より高いのはなんとなく納得が行かない気もします。例えば普通のコピー紙に税金を課して、それを再生紙製造の補助金に当てれば普通紙と再生紙の価格が縮まり、より多くの人が再生紙を購入すると思うのですが……。こういったことは各種利害関係の調整などで、なかなか難しいのかもしれません。ただ再生紙が安くなるなんらかの工夫があって欲しいと思います。

いつかFSC認証(ピュア)のコピー用紙が販売された際には、再生紙とどちらが環境にやさしいかをまた考えることができればと考えています。

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