有機JASの問題点

有機JASは農産物や加工食品が有機栽培品として適切に生産、製造されているか監査し、認定をする国の認証システムです。当団体でも有機JAS認証のコーヒーを販売しています。しかしことコーヒーに関しては、有機JASはいくつかの課題を抱えていると感じています。有機JASの利点、そして課題について書きたいと思います。

・有機の信頼性を高める

有機JASの加工食品を製造したり、小分けして販売を行うには農水省が認めた有機登録認定機関の審査を受けなければいけません。農場から生産設備まで登録機関の訪問審査が行われ、生産・製造状況の記録が確認されます。これにより有機JASマークが付いている商品は規程に沿わない農薬を使用したり、非有機の原材料を混入するなど、ごまかしを行うことが難しくなります。 有機JASを取っていなくても有機栽培の農作物や加工食品はあります。しかし有機の信用性を高めるために、有機JASはあったほうが望ましいと言えます。

・認定費用が高く、小規模な事業者が参入しづらい

有機JASの加工食品を製造したり、小分けして販売を行うには農水省が認めた有機登録認定機関の審査を受けなければいけません。しかしその審査・認定料金は年間約10~20万円です。(登録機関によって値段は変わります) 例えば自家焙煎店で一部有機JASのコーヒーを取り扱おうと思っても、そのコーヒー豆だけで年間認定費用を超える利益を生み出す保証はなく、販売者は大きなリスクを抱えることになります。同じことはスーパーの野菜の小売などにも言えるでしょう。小規模な販売店や、全体の一部に有機JASを使いたいと考えている業者にとって、有機JASの費用は認定を躊躇する大きな要因になります。 もちろん、審査にも費用がかかりますから、現在の価格が高過ぎるとは一概に批判できないかもしれません。しかし小規模な事業者向けに別の料金設定や認証規格を農水省が企画すれば、より多くの事業者が有機JASを取得できると思います。

・海外の有機認証を取得した農作物・製品を、有機JASとして販売できない

現在農水省は有機認証の同等性を認めた国(アメリカ、EUなど)で生産、加工された製品に関しては、その製品を有機JAS認定品として国内で販売することを認めています。同等性を認めていない国の農産物に関しては、有機JASの登録認定機関が現地に出張し、その農作物を認定することで有機JASとして国内で販売することができるようになります。

しかし現状では、海外で積極的に有機JASを取得しようという生産者はそれほど多くありません。何故かと言うと日本の有機認証を取得するよりも、マーケットの大きいアメリカやEUの有機認証を取得し、それらの国々に輸出するほうが優先度合いが高いためです。 正確な統計を把握しているわけではありませんがコーヒーの仕入先を探していると、USDA(アメリカ農務省)の有機認証を取得した生産者は数多く見受けられますが、有機JASを取得している生産者は全体の中でごく一部といった印象を受けます。有機栽培で生産された魅力的なコーヒーを見つけても、有機JASを取得しない限り、日本では有機として販売できないのです。

アジアや南米の生産者は、アメリカやEUが認めた海外の登録機関の審査を受け、アメリカやEUの有機認証を得ています。つまり実質的にアメリカやヨーロッパの有機製品と同等の有機性を持った農作物です。しかしこれらはなぜか、有機JAS認証製品として日本で販売することはできません。結果的に仕入先が限定され、欠品しやすくなる、消費者の選択できる製品の幅が狭まる、競争が促進されず価格が高くなる、などの不利益が生じます。

なぜアメリカやEUの有機認証を取得した、海外(アジアや南米)の農作物が有機JASとして認められないのか、農水省に電話で問い合わせてみました。その電話では次のような返答をいただきました。

1:アメリカやEUとそれぞれお互いに有機の同等性を認めるのは、自国の輸出促進のために行っていることである。海外のアメリカやEUの有機認証を取得した農作物に対し、有機JASとの同等性を認めても、輸出促進につながるわけではない。

2:アメリカやEU側も、有機JAS認証を取得した海外の生産者に対してその有機同等性を認めていないので、それに合わせている。 ……ということです。

しかしアジアや南米の生産品で、アメリカやEUの有機認証を取得したものを有機JASとして販売できるようになれば、消費者はより多くの商品を選択できるようになり、有機製品のマーケットが広がります。別に輸出の促進にはなりませんが、消費者の利益のために様々な国で取得された、アメリカやEUの有機認証を有機JASとして認めていくことは、検討する価値が十分にあるのでは無いでしょうか?

当団体のコーヒーはこちらからご購入できます。

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